野菜ギライ克服法。
東京大田区・雪が谷大塚で青果中心の食料品店を営んでいます。
全国の生産者・製造元皆さんとの繋がりを大切にする、ちょっと珍しいタイプの店です。
実家は農家ではありません。幼少期は特にトマトを見ただけで泣き出すような子でした。野菜がニガテなお子さんの気持ちはわかるつもりです。大学在籍時の研修で農家さんを訪問した折、断れずに畑でもいだトマトをかじって不思議と食べれた経験がその後に活きて今に至ります。
お店にも「子供が野菜を食べてくれない」と悩まれるお母さんが多くいらっしゃいます。できるだけ多くの種類を食べさせたいという親心の現われとも言えますが、最初はお子さんが好きな品目をどんどん食べてもらえたらいいと思います。野菜=好きという良いイメージの中で食べていると「次、コレたべたい」と新しい品目に興味を持ってくれます。お店に来られるお子さんが食べてみたいそぶりを見せると、その反応にママさんがびっくりすることもしばしば。高そうに見えたハードルも飛び越え、好循環の中で身構えることなく、野菜でも食欲が湧くようになります。
むしろ、「野菜で食欲が湧かない」のは大人のほうかもしれません。
ライフスタイルにこだわるあまり有機野菜や生野菜の摂取にストイックになりすぎる方もいらっしゃれば、ダイエットや栄養のため健康のために食べねばならないと『義務感』や『ノルマ』のようにある種のプレッシャーを感じながら野菜を食べる方を多くお見受けします。食欲どうこうの前に、男女・年齢・場面を問わず無意識のうちに“野菜を食べるハードル”を高く高くしてしまっているのではないでしょうか。
先ほどの『美味しいと思う野菜を優先する』『食べたいと思う野菜を食べる』方法論は、大人にも十分適用できます。
お店での接客経験上、じつはお子様より食べず嫌いが多い男性(≒旦那さん)にこそ、大変有効です。今日のトマト美味しかった!という会話が、日々メニューをやりくりするお母さんの心もきっと軽くしてくれるはずです。ウチの野菜だとお子さん旦那さんが食べてくれる。日々買い物に来られる皆さんと会話する中で、(元野菜ギライだった)私が最も嬉しくなる瞬間です。
私のような店があることで“食べる楽しみ”がひとつ増える。
地域に住む皆さんの食生活をサポートできる。
コンビニやスーパーが数ある中で、頼りにしてもらえる。
私にとって大きな支えです。
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※初稿:2017.7.20
※全国病院用食材卸売業協同組合/第一出版 「栄養と食事ニュース」第374号より一部編集