日記

店はこれからも減り続ける。


五輪も終わり、商店街のフラッグも外されました。
五輪やコロナ禍に隠れてしまいがちですが、現状把握と近未来の想像は、商売&運営上大切です。

 
店長ノムラです^^
雪が谷大塚駅周辺は個人店がそれぞれの特色を出し、
各店舗にお客様がついていて、買い物・買い回りできる店が連なります。
大手のスーパーもあります。3つあります。コンビニもたくさんあります。
文字通りの『商店街』が今なお成立する【珍しい地域】です。
 
雪が谷大塚は、商店街内ほとんどが個人経営の店
吉〇家や日〇屋ができたのも2017年以降のハナシです。
昔からの店が閉店しても空き物件にはならず、多くは個人店が新たに入り営業しています。
 
物販/テイクアウトだけでも、
豆腐屋・魚屋・和菓子屋・八百屋・花屋・呉服屋・珈琲屋・アクセサリー・本屋・たばこ屋・酒屋・肉屋・サンドイッチ・シフォンケーキ・スイーツ・タピオカドリンクなどなど。。
都内・大田区内・近隣をみても、チェーン店が数多く並び、個人経営の物販店を見かけなくなった中、
雪が谷大塚は特色ある個人商店が連なる【かなり珍しい商店街】と言えます。
 
いっぽう。
駅から少し離れますが、街道沿いの個人スーパー(非チェーン)が2020年2月に閉店しました。
ここ数年、スーパーの隣に「まいばすけ。と(←伏字)」ができ、「●Kストア(←伏字)」も商圏内にできました。
駅周辺は個人商店がまだ多い反面、他の池上線沿線や周辺商店街では閉店&廃業も目に見えて増えています。
 
やさいやふうども、世間一般の見方では
ああ、八百屋ってあったよねそういえば的な見られ方もします。。
 
減った減ったと言われる八百屋。今現在どれくらいあるのだろうと気になったので、
都内や大田区の近年の事業所(店舗)数を経済センサスで調べてみました。
 
【表】平成26年→28年:事業所(≒店舗)数の変化
左:スーパー/コンビニ/個人経営含む食品物販店の事業所総数
中:いわゆるスーパー&食料品店の数  右:いわゆる八百屋・果物屋の数


※やさいやふうどは青果店カテゴリ。多少のツッコミはあるかもしれませんが統計上八百屋ということで。。
 
青果店等の専門店が急激に減る一方、スーパー/食料品店群は微減に留まっています。
詳しく見るとこの2年でスーパー/食料品店群は23区内だけ増えています
※581群※ 東京都全域で1911→2188と277増。このうち23区内で1274→1582と308(!)増。つまりスーパー23区内だけ増加。23区外のスーパーは減少しています。
 
2年で一般的なスーパーが乱立したようには思えません。(飽和状態だとは思いますが)
23区を街歩きして思い浮かぶのは「プチスーパー(ミニスーパー)」とよばれる大手チェーンの数々。
プチスーパー業態が数多く出店し、既存店舗の商圏を奪った。。のかもしれません。
 
実際、近隣や他商店街、他の23区地域を回っていてもこの現象を実感します。
商店街内の個人商店/専門店/生鮮物販店がどんどん減る一方で、プチスーパーは増えてます。
 
留意していただきたいのは、この現象を
(近所/商店街の)店がまた閉まっちゃうね、悲しいね残念だね困っちゃうねという感情論で片づけないで!ということ。
 
働く人の老齢化や後継不在といった“運営側の事情”を除き、
【売場/顧客の視点】から考えると
お客さんの購買行動が「まいばすけ。とで足りるわね!」と個人商店/専門店から静かに離れた結果とも言えるのではないでしょうか。
購買行動の良い悪いではなく、競合店が新たに建ち競争する中で、
個人商店の“売場”が変われなかったし顧客も変わらなかった。
“特色ある売場”に変わろうと改善改良しても、顧客から見ると(再来を促すような)特色&魅力と感じなかった
「まい〇すでいいや」と選択する人が多くなったのかもしれません。
新たに買いたくなる/リピートするようなインパクトあるプラス評価まで届かなかったのかもしれません。
 
近所の話に戻ります。
先日閉店した個人スーパーの後釜は隣にあった「まいば〇」でした。
個人スーパーの商圏に乗っかった(個人スーパーの衰えを補完した)「まい〇す」の戦略は合理的です。
 
閉店したそのスーパーを私も利用していました。
“お客さん”目線で見ても、店を切り盛りし“営業を続ける身”に置き換えても。
今まで営業を続けて来られた、その場所にスーパーが在ったことに、心からの感謝と尊敬しかありません。
「店がある場所で、一定の役割を果たし終え、閉店する」という現実。
 
============
 
表をもう一度ご覧ください。
平成26年→28年の2年で店舗/事業所がけっこう減っています。
今後も増えはしないでしょう。
物販の常設店舗に限定すると、どの規模でも【在るだけでは続かない】。そのくらい厳しい(本来の)競争関係になるはずです。
 
「購買行動と店舗の在り方」も時代によって変化していますが、大雑把に以下のようにまとめます。
 
 
昭和はただ店を開く/在るだけでよかった。
⇒人が増えたし、立地(近所)で来る客を待てばよかった。
平成は価格/立地/利便性の競争。
⇒車や電車を使い、安く近く便利ならよかった。
令和は生存競争。
⇒店に行かなくても≒近くに店がなくても注文すれば届くご時世。続けたい店/特色ある店のみ営業。
⇒昭和/平成と違い“立地の優劣”はなくなる。Web/SNSで来たい人が店に行くように。
 
 
令和の現在、店そのものの存在意義が問われます。
ただ近くに在る・来る客を待つ「昭和&平成の店」は役割を果たし終えたと解釈しています。
 
物販の常設店舗であれば「(価格以外の)目的あるから来る&常に提案できる」が今後の最低ラインです。
 
各々の特色を出して競争する。
一般社会ではごくごく普通の環境ではないでしょうか。
個人経営の食品店にありがちな“内輪ウケ”に留まらず、多くの方に『買ってもらえる売場』と認知され続けること。
これからも美味しいもん揃えて営業しよう!と改めて心に留め、日々研鑽しているつもりです。
 
そして“研鑽を続ける店”の集積/集合が【商店街】であってほしい。私の理想です。
雪が谷大塚が特色ある『買い物商店街』として輝き、
お客さんが買って支えて喜んでもらえる面白い地域であってほしい。
構成員として今後も面白おかしく楽しく、理想を達成すべく頑張る所存です。
 
 
 
===
<補足>
都会は人がいっぱい居て商売出来ていいね!という声も耳にしますが、都内は都内で大変です(汗
都会も郊外もド田舎も、続ける大変さは一緒。
特に都内は物件賃料・人件費(最低時給1072円以上 ※2022.10)コストが年々大きくなっています(超絶実感)。
現状維持≒衰退のはじまり。
いつまでも何も変わらず存在する場なんて有り得ません。
どの店/業種/仕事も改善改良繰り返しながら営業してるはずです。
絶えず変化する世の流れ。眺めて受け身で居るのは(特にコロナ禍以降)駄目でしょう。衰退し消滅するだけです。
 
私はこれからも変わっていけるか?
お客さんに『買いたい!』と思ってもらえる売場になっているのか?
今年は(毎年か)試されている気がします。
 
 
#売場は世間の鏡 #売場論 #八百屋言語化計画 #八百屋から見た食
#個人商店の矜持 #やさいやふうど