日記

有機JAS・農薬肥料使わない、は『イイモノ』『安全』を保証していない件


画像は当店定番のインカバナナ。とにかく美味しい。
斑点/シュガースポットが出てくる頃が歯ごたえ・甘さ・香りのベストタイミングです。
有機JAS認証取得農産物です。
年に数回、ごくまれに輸入~検疫時の検査結果から燻蒸処理される場合があり、この時は同じインカバナナでも有機JAS認可が下りません。シールなしで流通します。

 

※以下は農産物(主に野菜/果物)の話としてご覧ください
※畜産/漁業の有機JAS認証制度は、違った視点から環境や生態系に直接的な効用があると考えます

 

こんにちは。店長ノムラです。
2002年から都内いろんな地域で産直八百屋やってきましたが
店頭で聞く”問合せ頻度”不動の第1位、今も昔も回数が減らない
【有機JAS農産物が安全と聞いて…問題】
を取り上げます。

 
 
私は、これまでの青果販売において
・有機JAS認証を取得した野菜(&農産物)
・いわゆる農薬不使用/化学肥料不使用として売られている野菜(〃)を
農薬や肥料を使ってないという理由で
「イイモノ」のように優遇したり
『栄養価高い』『体に安全』と
お客様に伝えたことはただの一度もありません。

 
「農薬/化学肥料を使った野菜はキケン」と言ったこともありません
※栽培方法で区別差別するのは生産者さんに失礼だと私は思っています。
そもそも「無農薬」と書いて販売してはいけません(形骸化しすぎ)
尚、当店が「有機野菜の店」「自然食品の店」と言ったこともありません。。。(心の声)

 

生産者が栽培しているときに気を付ける「安全かどうか」と
消費者が購入/調理し食べる時に気を付ける「安全かどうか」は内容が異なるように思います。
補足1に転載します。

 

◆表示・表記について◆
有機JAS認証/農薬化学肥料不使用 は『ある栽培ルールを守った』表記に過ぎません。
元からあった自然を田畑に開拓した農業。農業自体が環境に大きな負荷をかけます。
いわゆる有機農業は『田畑に使える材料を通常ルールより厳しくし、環境負荷を幾分減らした』農業という内容です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 

有機JAS認証/農薬化学肥料不使用だけでは“モノの良さ”や“美味しさ”を担保しません。農薬使用or不使用の条件差のみで、食味の差・できあがり状態の差がつくことは相当まれです。慣行(農薬肥料を使う)栽培でも、使いどころが的確で野菜くだものを美味しく育て上げる生産者の方はたくさんいらっしゃいます。

 
◆現在の農薬事情、及び使う理由◆
先の文で『通常ルール』と書いたように
現代の慣行栽培において農薬使用ルールは厳格であり、現在の農薬=処方箋と捉えてもらった方が正確です。対象も限定されますし、効き目も切れます。
補足2に転載します。
⇒参考
◆当店過去ブログ 農薬と肥料の役割1◆
◆当店過去ブログ 農薬と肥料の役割2◆
◆当店過去ブログ 農薬と肥料の役割3◆

 

※追記※
いまだに
農薬を【毒性強く、危険で、のべつまくなしいつでも無尽蔵に振りまいて使う】とイメージされる方が特に都市生活者(←畑が身近にない消費者と定義)に多いようです。
私の勝手な見解ですが、都市部では身近に農業を体感できる場所(田畑)がなく、覚えた当時の、昔々は危険だったかもしれない内容を頼りどころとし【大きな誤解・更新していない情報】のまま固定観念となって現在に至ってしまったように感じます。
情報を1970年代からアップデートしていない、と表現すればどれほどのことかおわかりいただけると思います。

 

生産者と消費者の「情報ギャップ」も大きいです。
ホームページ等で農薬使用履歴を示す生産者さんも増えていますが、消費者がそれを知らない&使用理由まで興味関心が届かない場面が圧倒的です。生産者⇔消費者の相互理解が進んでほしいし、中間にいる私も(今後も)発信して参ります。

 
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では“美味しさ””イイモノ”を決める要素って何でしょうか。
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◆美味しさ・イイモノを決めるのは?◆

野菜の美味しさ・イイモノとは…
鮮度(or食べ頃)を管理することにあると考えています。

 

生産者と私(販売者)の野菜鮮度を比較します。
“採れたて”鮮度で収穫+発送1日の生産者直送便。その直送便を受けて売場に並べる私。
美味しさを損ねない・鮮度を失わないよう、なるべく短い時間で販売しお客さんに食べてもらうことが求められます。
販売者たる私が普段から気をつける(変化が大きい)指標は『鮮度』です。

 

見方を変えると。
一般的なスーパーや有機JAS農産物コーナーで普段から買い物される方でこれまで鮮度面で満足された事があったか疑問に感じます。ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
“ヨサソウナモノ・価値ありそうなモノ”なのに、鮮度や美味しさに満足する場面が少ないのはひとえに『売場の怠慢』以外の言葉で表現しようがありません。
販売者が鮮度管理意識を怠ったとたんに、
生鮮品「売場」は劣化商品が並ぶ「生鮮置場」へ変わってしまいます。

 

生産者出荷段階では鮮度ヨシの”イイモノ”が、売場に並び~消費者が買い~食べる時点ではザンネンなモノになる。現状打破&解決策の1つがやさいやふうどにあると考えています。
 

鮮度の話、コトはもっと単純です。
私(当店)の売場に並ぶ野菜は、常に見た目1発で「美味しそう~^^」と
食欲をそそる状態で渡したい!
と思っています。
⇒参考 ◆当店過去ブログ 野菜を買うとき◆
 

当店なりの販売ポリシーを遵守するのと同時に
生産者のポリシーも最大限尊重しています。
ただ、まずは“美味しさ”があってのもの。
どの栽培方法でも一般的な流通(出荷~販売)段階では一定レベルで食品安全を確保していますし、出荷商品を購入して食べる段階で気を付けなければならない点は「衛生面」です。
栽培方法の比較に大きな意味合いはありません。
生産者各自の工夫があってこそ生まれる”良さ””美味しさ”を当店では楽しんでいます(^^)
⇒参考 やさいやふうどのポリシー ◆当店過去ブログ 誰が作ったかわかるうまいもん屋◆

 

◆生産者ひとりひとりの工夫で(栽培方法関係なく)イイモノ作って出荷する
◆流通&販売者ひとりひとりの工夫で、良さを損なわないうちに販売する(=消費者に渡す)
◆消費者は良さを損なわないうちに食べる
◆消費者自身の好き嫌い

 

この4つの変数の掛け算で、イイモノの評価は変わります。

究極、農家/生産者⇔お客さん/消費者が直接繋がり、双方満足であればやさいやふうど(&小売店)は不要です。理想だと思いますし、私は晴れてお役御免です(笑)

 

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◆イイモノで信頼を得るために:情報トリセツ◆
【情報発信の正確さ・正直さ】は当店が信頼を得る最も近道だと考えています。

 

当店が関わる農産物/食品/農業分野でよりフォーカスされがちなのが
【栄養価・健康・農薬使用有無・害毒/危険/安全表現】といった内容の情報。

 

世間に溢れる情報は玉石混交です。テレビを含め正しいとは限りません。一連の表現の一部だけを切り取った内容など、正誤の判断がつかないものも多いです。
ありとあらゆるメディアで毎日毎時間毎番組、何かしらの『●●が〇〇に良い』と発信し続けています。

 
そんな正誤もつかない
些細で余計な情報に踊らされないでください。
情報を浴びても、判断できてこそ。

 

余計なストレスを抱えず
余計な出費を払わず
【日々の食生活をおいしく楽しむ】には?
情報に踊らされず、惑わされないことに他ありません。

 
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【おわりに】
『食べ物はおいしい』
栽培表示だけを見比べる前に
イイモノの価値やストーリーを語る前に
もういちど、ここから伝え、育てていかないと始まりません。
食事自体に興味がない方や、栄養や空腹を満たせばそれでよいと済ます方が、年代問わずかなり増えているように思います。
こんなことを言わなきゃならない現状は、食材屋うまいもん屋として情けない限りですが、
食材の美味しさを通じてお店もお客さんも生産者皆さんも”共に育つ”よう、一緒になって取り組んでまいりましょう。

 

派手さはなくても、毎日の”食べる楽しみ”をサポートできる存在でありたい。
やさいやふうどは常にソコを目指しています。
当店を支持してくださる皆さんを全力でサポートしますし、美味しく楽しんで買い物していただけたら幸いです。これからも当店は【当たり前すぎて、誰もやっていない道】を進みます。
⇒参考 やさいやふうどポリシーその2 ◆当店過去ブログ 2016年当時の抱負◆


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