日記

新しい食料品店をめざして~“互いに支える”場所づくり~


前号(野菜ギライ克服法)からつづきます※

 

    私のような「青果店・八百屋」という業種自体、街中でほとんど見かけなくなりました。

 

一般にイメージされるような八百屋仕事のままでは永く続きませんし、
昔ながらの商売で10年20年と続ける店もこの先はほとんどないように思います。
食の世界を見渡すと、農業や飲食店(カフェ・スイーツ・パン・ラーメン・地域食材・特定食材)分野は、企業/個人/ベンチャー問わず参入しています。
しかし「生鮮食材の小売店」となるとその数は一気に減ります。
先細りの青果業界を語弊を恐れずに表現するなら『燃え尽きた業態に出た新芽』のような現状です。

 

食品に限らず、個人商店は様々な方法で興味を持ってもらうよう努力しています。道行くお客さんを待つようでは続きません。ワークショップを開催したり、マルシェに参加したり。SNSが普及した今、紙のチラシを打たずともお店の特色を知り、ファンになってもらうきっかけはたくさん作れます。チラシ・メールマガジン・ブログ・ホームページ・SNS。当店でも定期的な更新に努めています。

 

地域に根ざした八百屋・食料品店・スーパーは、買い物される/近隣に住む皆さんの食生活を(素材提供を通じて)担っている自負があります。
特に生鮮品は鮮度で味が変わります。美味しいときにお客さんが買い、食べ、良い評価を得続けることでようやく支持されます。ファンが誕生する瞬間です。

 

    【食料品店は食べる楽しみを提供し食生活を支える。お客さんは買って店を支える。】

 

どちらかが一方的に価値観をおしつけるのではなく、買い物を通じ、作る人売る人買う人相互の信頼と尊重があること。さらにほどよい緊張関係があると理想的です。

 

食材の魅力は価格やボリュームだけではありません。特売品を買いこみ、使い切れなかったり捨てたりしたこともあるでしょう。お客さんと話すときは「美味しく食べ切る」を念頭に、会話の中で量・好み・調理・時短・保管・生産者近況etc.を交えつつお伝えしています。

 

    「おいしいっ!」と喜ぶ味を常に提供できる『普段遣いの青果店』

 

食材を通じ、日常のひとコマとして関わっている。関心をもってもらえる。
料理の美味しさが評価される飲食店とはまた一味違った魅力とやりがいがあります。
今後も、私は地域に住む皆さんの『食べる楽しみ』をサポートし続けたいと考えています。

 

チェーン店の少ない、今となっては珍しい個人商店が連なる商店街に「やさいやふうど」はあります。
皆さんの住む近くにも“きらりと光る個人店”や“買っておいしかった生鮮売場”があるはずです。会話のある店はもしかすると入りずらい空間なのかもしれませんが、ちょっとした会話があることで、日常のなにげない食事やお買い物もさらに楽しくなるのではないでしょうか。

 

※初稿:2017.8.25
※全国病院用食材卸売業協同組合/第一出版 「栄養と食事ニュース」第375号より一部加筆・編集


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